花喰い2014
2014年06月23日月曜日 | カテゴリー:絵
あ
あっ
歌舞伎の話ですか。。
僕は今まで歌舞伎というと「ザ・伝統芸能、壁のような敷居」といった印象で「なかなか近寄りがたい」と思って避けておりました。チケットもけっこうしますしね。。しかし「人生に一度ぐらいは歌舞伎を観ないと男がすたる」とは思っていて、シクロクロス東京を見に行った際、清水の舞台から飛び降りるつもりで歌舞伎座の「幕見席」というものを体験しました。
「幕見席」というのは、全何幕かある一日の公演のうち、一幕だけを一番後ろの席から観る、というもので、安いものだと500円からある、文字通り「お試し券」です。多分東京の歌舞伎座にしかない。
で、観たらたいへんおもしろかった。
どれぐらいおもしろかったかというと、「一幕」だけでは飽き足らず、日を分けて「全幕分」の幕見席を買っちゃって、結果的には三等席の通しの券を買ったほうが安くついたというすっとこどっこいすっとんきょうな始末でした。
一番後ろの席からでも伝わる見得のかっこよさ、粋な台詞回しに、衣装や化粧の鮮やかさ、「ザ歌舞伎」のかっこよさに魅せられ、中でも感心したのは劇中のセリフの柔軟性です。ご想像のとおり「歌舞伎」ですから、セリフはあのーなんというんですか、つまり歌舞伎っぽいセリフ回しなんですが、その間に「ソチオリンピック」だの「これはもう金メダルでございまする!!!」「この着物はそこのユニクロで買うてきた」などという耳を疑うような単語が出てきて、それはもうぶったまげました。
あっ
そうです!2月の話を今しています!
みなさんまだ記憶に新しいかもしれませんが、その日の東京は歴史的大雪、劇中にさりげなく「この雪の中でも歌舞伎座のほうはにぎわっておるそうな」「ホウそれは物好きもいたものじゃのう」などというセリフを入れたり、妙な一体感を帯びた笑いに包まれる会場に、その遊び心の意味を「ははあ」と感心した次第です。
それ以外にも「同じネタを繰り返す」「ノリつっこみ」などオーソドックスなギャグ要素も盛り込んでいたり、考えれば「歌舞伎の舞台で歌舞伎の格好で金メダルとか言う」というのはまさにギャップ、緊張と緩和、ベタな笑いが展開する歌舞伎の舞台、歌舞伎ってこんなにカジュアルで楽しいものだったんですね、なんでも試してみるもんだ、そうかそうか、とうなずきながら歌舞伎座を後にした次第です。(その後、銀座のいきなりステーキに行きました)
詳しい人の話によれば、歌舞伎にはそういうご愛嬌というか、時事ネタはつきものであるそうで、「ザ伝統芸能」と勝手に高い敷居を築き上げていた自分を後悔しました。
それ以来歌舞伎に関する書籍なんかを読んでいたらば
「そもそもバレエやオペラなどと違って、歌舞伎というものはその発祥から現代(は少し違う?)にいたるまで政府や国の支援を受けることがなく、むしろ排斥の対象にさえされていた歴史を持ち、その歌舞伎が生き残る手段、それが庶民に愛されることであった。」という。
だから内容も「庶民が好きな」心中物やヒーロー物が多く、多くの演目がその原作を浄瑠璃から取っているものの、ひとつの話を起承転結通してやるというよりは、クライマックスを集めた「いいとこどり」な公演が多いという。その内容に時事ネタを盛り込むのも、なるほどその劇場の観客を喜ばせるためのものなのでしょう、伝統や芸術を守りながらも、それに凝ることも媚びることなく柔軟に変化する歌舞伎、○○。
※○○のところに皆さんが思う締めの句を思い描いてください。